医療従事者の肩こり

02.15

肩こりは健康状態を阻害する代表的な愁訴である.平
成 28 年の国民基礎調査で病気やケガ等の自覚症状があ
る者を症状別に見ると,肩こりの有訴率は女性において
1 位,男性において 2 位を占めている 。
肩こりに関して勤労者を対象に調査した先行研究では,
ビデオやディスプレイ端末を使用する visual display
terminals(以下,VDT)作業が肩こりの原因の一つと
されており ,筋力強化や姿勢矯正といった運動療法や
生活指導が肩こり症状の軽減につながったとする報告も
ある.医療現場では,電子カルテ化が進んだことによ
り,身体的労働に加え VDT 作業が多くなった.VDT
作業を長時間行うことによる前方頭位姿勢が肩こり症状
を起こす不良姿勢として取り上げられている .加えて,
肩こりには心理社会的要因の関与が考えられていて,ス
トレス自覚度と筋骨格系症状の有訴率との関連を調査し
た研究では,ストレス自覚度と肩こりに有意な関連を認
めている 7).看護師を対象とした研究では首や肩のこわ
ばりなどの身体症状とストレススコアとの関連が認めら
れている .
肩こりは僧帽筋を中心とする頸部から肩甲間部にかけ
て,硬結や不快感を自覚的あるいは他覚的に生じている
ものである 9).しかしながら,肩こり症状と超音波診断
装置で評価した筋硬度との関連については,一定の見解
が得られていない .その一方で,大学生を対象と
した調査では,前方頭位姿勢と通常の頭部姿勢の間で僧
帽筋上部線維の筋硬度に差が認められている .
肩こりの身体的および心理的特性を明らかにすること
は,肩こりの適切な評価,治療を行ううえで重要となる.
本研究は,VDT 作業に加えて肉体的労働も勤務に必要
な看護師および療法士を対象に,肩こりの関連因子を明
らかにするとともに,肩こりと筋硬度の関係を検討する
ことを目的とした.

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/1/38_73/_article/-char/ja

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